子どもがある日突然、学校に行くのをやめてしまう。親にとって、それがどれほど衝撃的な出来事かは想像に難くありません。「一体なぜ?」「これからどうすれば良いのだろう?」と、頭が真っ白になってしまうこともあるでしょう。毎日家にいる子どもを見ながら、親のほうがノイローゼのような状態に陥ってしまう例もあります。

しかし、親の精神状態が不安定になると、不登校になった子どもにも悪影響を及ぼしてしまいます。不登校になりたくてなる子どもなど一人もいません。原因はその子によって様々ですが、みんな心のどこかでは親に心配をかけていることに対して、常に罪悪感を持っています。

不登校になり、傷付いてしまった子どもの心にこれ以上の負担をかけないために、親はどういう心持ちでいれば良いのでしょうか。大切なポイントをいくつかご紹介します。

パニックを起こさない

子どもが不登校になると、親としては一日でも早く学校に復帰させようと、まずは考えるのではないでしょうか。しかし、それが思い通りには行かず、学校を休み始めてから一週間が経ち、二週間が経ち……時間が経てば経つほど親の焦りは募ります。

それまで順調に育っていて、あまり問題を起した事のない子どもであれば、焦りを通り越してパニックに陥ることもあります。しかし、まずは親が冷静になることが大切です。親が焦ったからと言って、子どもが再び登校できるようになる訳ではありませんし、不登校の問題は、すぐに解決しないケースの方が多いのです。

「どうやって学校に行かせようか」という考えはいったん横に置いて、お子さんの様子を注意深く見守ることから始めて下さい。

他の子どもと比べて落ち込まない

不登校になった子どもへの対応は学校によってまちまちですが、小学生や中学生なら担任の先生が家庭訪問をして、登校を促すような働きかけをすることもありますし、クラスの子ども数人に連絡プリントなどを持たせて、不登校の子どもとコミュニケーションを取らせ、登校のきっかけとなるようにお膳立てをすることもあります。

家に来てくれたクラスメートに対して、親は感謝すると同時に「この子たちは普通に学校に行けるのに、どうしてうちの子は行けないのだろう」と落ち込んでしまうことがあります。

一歩も外に出たがらない子どもを家に残して買い物に出た先で、公園で元気そうに遊んでいる同年代の子ども達を見たり、つい最近まで我が子も着ていた制服を着て、楽しそうに友達同士で下校している子ども達の姿を見ると、胸が締め付けられる思いがするかも知れません。

その気持ちは分かりますが、他の子どもと我が子を比べて落ち込むのは止めましょう。不登校に陥っている子どもは、親の気持ちにとても敏感になっています。親に「この子は学校にすら行けないダメな子だ」という烙印を押されるのを、非常に恐れているためです。

親が我が子と他の子とを比べて劣等感を持ったり、落ち込んでいたら、子どもはすぐに気付きます。そして「やっぱり自分はダメな子なんだ」と、自己否定してしまうのです。

学校には行った方が良いけれど、学校に行っているから、人間的に優れているのかと言うと、必ずしもそうではありません。学校に行きいじめをしている子どももいます。そんな子どもは不登校になることはできません。なぜなら、深く物事を考えたり、相手の気持ちを思いやる繊細さを持ち合わせていないからです。

 

将来を悲観しない

「もしもこのまま学校に行けなくなってしまったら、この子の人生は終わりだ」

「一生家に引きこもったまま、わたし達親が死んだあと、この子はどうやって生きて行くのだろう」

不登校が長引いてくると、こんな思いが脳裏をよぎることがあります。特に高学歴のご両親が陥りがちな思考パターンだと思いますが、中卒や高校中退ではまともな仕事には就けない、結婚もできない、つまりお先は真っ暗だ、という考え方です。

確かに、今の時点では将来を悲観してしまいたくなる要素ばかりかも知れません。しかし、八方塞がりに感じるその状態がいつまで続くのかは誰にも分からないのです。もしかしたら明日、お子さんがやりたいことを突然見つけたとしたらどうでしょう?そのやりたい事のために学歴が必要なら、また学校に通い始めるかも知れませんし、どうしても通学が無理なら通信制学校があります。高校を中退しても、大学卒業検定試験に合格すれば、大学受験の資格が与えられます。高卒にはなりませんが、高校を卒業した状態と同じになります。可能性は閉ざされてはいないのです。

将来を心配するより、今目の前にいるお子さんの可能性を少しずつ広げることを考えましょう。お子さんはどんな事に興味を持っているのか、どんな事をしている時が楽しそうか、よく観察して下さい。そして、例えそれが将来の役に立ちそうにないように感じても決して否定しないで下さい。子どもの大切な可能性の芽を摘み取ってしまわないように気を付けましょう。

親子の絆は絶対に切れない

不登校の低年齢化が進み、小学生の不登校児も増えていますが、やはり不登校は思春期に入り、第二反抗期を迎える中学生が占める割合が一番多いです。

只でさえ、口が悪くなり親に対して粗暴な態度を見せる年齢です。そんな時期に不登校になってしまった子ども達は、親のことを口汚く罵ったり、家の中で暴れたり、時には親に暴力を振るう事さえあります。

「お前が全部悪いんだよ」「よくもこんな世界に産んでくれたな」「死ね」など、耳を覆いたくなるような言葉を浴びせかけられたり、子どもから暴力を受けたりしたら、絶望してしまう気持ちはよく分かります。ただ、子どもの口からほとばしる様に出る罵詈雑言は、決して子どもの本心ではないという事を知っておいて下さい。

学校に行けない、というストレスは、10代半ばの子どもがひとりで抱えるには大き過ぎるのです。抱えきれない荷物を、親にも一緒に背負ってもらいたくて「お前のせいだ」などと口にします。子どもにはそのような自覚はないでしょう。ただ、イライラし親に八つ当たりし、自己嫌悪に陥るというパターンを繰り返しているのだ、と思い込んでいます。しかし、実際は親にひどい態度を取りながらも、助けを求めているのです。また、自分が何をしても親が許してくれるかどうか、親の愛情を試している、とも言えます。試す、というと言葉が悪いですが、そうまでしないと親の愛情さえ信じられなくなるほど、子どもは自信を失っている状態なのです。

子どもの将来を考えて心配したり、嘆いたりしている親を、本気で憎む子どもなどいません。親子の絆はどんなことがあっても切れない、と信じてください。

自分を責めない

子どもが不登校になったのは育て方に問題があったのではないか、甘やかし過ぎたのではないか、と、子どもが不登校になった原因をひたすら自分に求めてしまう方がいます。

しかし、不登校になった原因はひとつではありません。色々な要素が絡み合い、結果的に不登校になったのです。要素には、子ども自身の資質や周囲の環境、友達関係や教師との関係など様々なことが考えられます。

決して自分を責めないで下さい。もしも、周囲であなたのことを非難する人がいても、耳を貸す必要はありません。育て方が悪かったから不登校になった、という認識は、育ち上がったあなたの子どもを否定することにも繋がってしまいます。

まとめ

不登校の状態にある時は、親も子どもも苦しいものです。真っ暗闇の中で歩いても歩いても、どこにも辿り着かないような気分に襲われることもあるでしょう。

けれど、一生そのままという状態はあり得ません。時は流れ、物事は変わって行くものです。とりあえず、昨日より今日。今日より明日。何か少しでも子どもが良い方向に変わった時は、思いきり喜んでください。小さな積み重ねの先に、暗いトンネルの出口が待っているはずです。