『熟年離婚後の生活はバラ色ですか?~YES編~』に続き、今回は幸せを求めて熟年離婚をしたものの、その後予想外の展開を迎えた女性達をご紹介します。

元夫と共に暮らす苦痛や、元夫の親の介護問題、その他にも結婚生活のなかで感じていた様々なしがらみから解き放たれて、幸せになるはずだった彼女たちに一体何が起きたのでしょうか。具体的な例を交えながら見ていきます。

経済的に困窮するケース

熟年離婚後に再就職先を探し、やっとパートの仕事が見つかって安心したのも束の間、毎日決まった時間に出勤し、気を使いながら慣れない仕事をし、時には上司に怒られる、といったストレスは、特に長年専業主婦として生活してきた女性にとって、相当な負担となります。

勤務先の人間関係によっては、まだ元夫のほうがマシだったと思うような経験をすることもあるでしょう。さらに50代を過ぎてからの仕事は、清掃や介護、レジ業務といった立ち仕事が圧倒的に多いです。体力的にも続かずに、せっかく決まった仕事を数ヶ月で辞めざるを得なくなることも少なくありません。

世間の荒波にもまれ、自分が社会的には元夫に守られて暮らしていたことを痛感させられ、“こんなはずじゃなかった”と後悔するケースです。大きな挫折感を味わうとともに、貯金が十分にない場合は、すぐに生活が立ち行かなくなります。最終的には生活保護を受けながら暮らしていかなくてはならない女性達がいます。

子どもや親戚に迷惑をかけている

経済的に困窮することとも関係しますが、離婚はしたものの自立しきれずに、結局子ども達を頼ってしまい自己嫌悪に陥る女性は、離婚を後悔することが多いです。

子どもだけではなく、自分の親や兄弟、時にはもっと遠い親戚にまで迷惑をかけてしまうこともあります。1度や2度の援助なら、家族も協力を惜しまないでしょう。しかし、それが度重なってしまうと、やがては家族の重荷となりかねません。夫と別れ1人になった今、自分の親族との関係がこじれてしまう事態は極力避けたいものです。

元夫と大喧嘩をしてその勢いのまま離婚してしまった場合や、離婚後の生活の目途が立たないまま、とにかく元夫との息の詰まる生活から逃れたくて離婚をした場合など、離婚後の準備不足が原因で起こる失敗例と言えます。

交友関係の変化

世間の風潮が離婚に対し寛容になった時代とはいえ、実際に離婚してみると、その後の交友関係が微妙に変化することは珍しくありません。本人が気にしなければ良い問題とはいえ、そう簡単には割り切れないのが現実でしょう。

ここで1人の女性をご紹介します。

和美さん(仮名)は63歳、元夫とは価値観が合わず1年前に離婚をしました。幸い、和美さんは裕福な家の1人娘だったため、親がまとまった額の遺産を遺してくれました。そのため、熟年離婚をするにあたって金銭的な心配は一切なく、離婚後は1人で悠々自適な生活を送るはずでした。

和美さんは歌をうたうことが好きで、声楽のグループレッスンに通っています。そこでたくさんの友達と出会うことができました。年に2回の発表会や、レッスン後に仲間たちとカフェでお茶をすることが、和美さんにとって何よりの生きがいだったのです。離婚後も、もちろんこの趣味を続ける予定でいました。

しかし、離婚をしたことによって、和美さんと他のメンバーの関係は微妙に変化していきます。離婚した当初こそ「大変だったわね」、「今までよく頑張ってきたわよ」と労わってもらった和美さんでしたが、レッスン後に楽しみにしていたお茶の時間の話題のほとんどは、自分の夫に対する愚痴や不満です。しかし、夫に対する不平不満を言いながらもどこか楽しげな様子の友達に対し、和美さんは居心地の悪さを感じるようになりました。

結婚している時は自分も友達と同じように話していたはずですが、実際に離婚してみると、自分だけが取り残されたような疎外感で胸がいっぱいになったのです。あれほど楽しみだったレッスンが苦痛になり、次第にレッスン後のお茶会にも参加しなくなり、とうとう和美さんは声楽をやめてしまいました。

趣味を通じて知り合った友達は、その趣味をやめた途端に疎遠になりがちです。和美さんのような理由で交友関係が大きく変化し、思わぬ孤独感を味わうことがあります。熟年離婚によって友達まで失うという悲しいケースです。

想像以上に寂しかった1人だけの生活

一緒にいるのが苦痛で仕方なくて夫と離婚したはずなのに、実際に1人暮らしを始めてみると、思わぬ孤独感に苦しめられることがあります。20年以上夫と共にいた歳月は、やはりその人の人生にとってそれなりに重みのあるものです。その間、常に傍らにいた人がいなくなるとはどういうことなのか、それは経験してみなければ分からない部分も多いのではないでしょうか。

婚姻中はお互いに別室に閉じこもったまま、夫とはほとんど顔を合わせなかった場合でも、家に自分以外の人間がいると、何となく人の体温を感じるものです。離婚後に初めて1人暮らしを経験した女性のなかには、帰宅したときに家に明かりが灯っていないことに、言葉では言い表せない寂しさを感じる人もいると言います。

しかし、自分から離婚を申し出た女性は特に、口が裂けても「寂しい」とは言えないでしょうし、そう感じてしまう自分自身にも嫌気が差し、ストレスを募らせていきます。なかには、そのストレスを紛らわせようとお酒に逃げてしまう女性もいますが、どんどん酒量が増えたとしても止めてくれる人は誰もいません。気付いた時にはアルコール中毒になっていた、などというケースもあります。

病気や怪我

多恵さん(仮名)は、30年連れ添った夫と1年前に離婚しました。夫の母親の介護に疲れ果てた末の決断でした。

長年の介護ストレスから解放され、これから自分の人生を充実させて生きようとしていた矢先に多恵さんを襲ったのが胃がんです。ステージは2で、幸いすぐに命に関わるものではありませんでしたが、子どもたちは皆地元を離れ、すでに両親も他界、頼れる親戚も近くにはいませんでした。

入院中の日々の着替えなどは病院のクリーニングサービスを利用したものの、やはり心細さはぬぐえません。“元夫がいてくれたら……”という思いがちらりと胸をよぎります。少額ながら生命保険には加入していましたが、思った以上に入院費がかかってしまい、今後の癌の再発のことなども考えると、退院後も不安な毎日を送っています。

病気や怪我は、生きている限り誰にでも起こり得るアクシデントです。熟年離婚後に、重い病が見つかったり、交通事故に遭い怪我を負ったりして、途方に暮れるという女性がいます。不運としか言いようがありませんが、このようなケースも絶対にないとは言い切れません。“例え仲の悪い夫婦でも、自分が入院したら着替えを持って見舞うくらいはしてくれるだろう”という理由で、熟年離婚を思い留まる女性がいます。やはり、高齢になればなるほど、健康に関することは切実で現実的な問題となるようです。

まとめ

“離婚をしなければ良かった”という苦い後悔をしている女性達についてご紹介しました。熟年離婚をした女性の誰もが、離婚後は今より幸せになろうという思いでいたはずです。しかし、実際に幸せになれる女性もいれば、そうでない女性もいます。熟年離婚後の様々なケースを知ることは、離婚の是非を考える材料になりますので、参考にしていただければ幸いです。