女性が離婚をした後に幸せになるためには、事前に十分な準備が必要ということは、前回の『女性が離婚を決断するまえに考えておきたい5つのこと』でもお伝えさせていただきました。今回は熟年離婚について、特に専業主婦の方を対象にお話しを進めていきます。

熟年離婚とは一般的に20年以上連れ添った夫婦が婚姻関係を解消することを言います。

2005年に放送されたドラマ「熟年離婚」が高視聴率をマークし、2007年(平成19年)4月に年金分割制度がスタートしたことで、一躍脚光を浴びる形になった熟年離婚。

しかし、人によって、また離婚したい理由によっては、離婚を思い止まったほうが賢明な場合もあります。まずは離婚をしたほうが良いケース、しない方が良いケースについて見ていきましょう。

離婚をしたほうが良いケース

家庭内暴力(ドメスティックバイオレンス)

夫から殴る、蹴るといった暴力を受けている場合は、まずは身の安全を確保するべきです。行政が運営する「保護シェルター」がありますので、そういう施設に一時的に避難するのも良いでしょう。

最近では言葉の暴力(モラルハラスメント)も問題になっています。夫から人としての尊厳を傷つけられるようなひどい言葉を日常的に投げつけられる場合も、やはり離婚を視野に入れて離婚後の生活に備えた方が良いかもしれません。

金銭問題

夫の借金問題も、妻にとっては見過ごせない問題です。配偶者でいる限り妻にも借金返済の義務が生じる場合があります。何度言っても夫の借金グセが直らない場合、リスク回避という意味では早めに離婚をしたほうが良いでしょう。

依存症

アルコール、ギャンブル、万引きなど依存症には様々なものがあります。患者本人に本気で治す気があり、医療施設に通ったり入院したりしている場合は別ですが、依存症は放置すると悪化の一途をたどります。また、本人が依存症であることを認めたがらない場合も多いのです。アルコール依存症のために家庭内で暴れたり、ギャンブルで借金を重ねたりする場合も、離婚をしたほうが良いケースになってしまいます。万引き依存症(クレプトマニア)につきましては、『万引き依存症からの脱却を目指して』で詳しくご紹介しておりますので、興味のある方はご一読ください。

離婚を思いとどまったほうが良いケース

先述のように、離婚原因としてDVや金銭問題といった深刻なものもありますが、なかには「え?そんなことで?」と思うような理由で離婚を決意される方もいます。もちろんご本人にとっては「そんなこと」では済まされない重大な問題なのでしょう。

例えば「食べ方が汚い」「入れ歯をキッチンで洗う」「入浴嫌いで加齢臭がひどい」などです。確かに不衛生ですしお行儀が悪いのですが、大変なリスクを冒して離婚をすることを考えると、首を傾げたくなる理由だとも言えます。

また、離婚してもひとりで生活していくだけの金銭的な目途が立たない場合や、働く自信のない場合も、離婚を思い止まったほうが良いケースです。夫の年金や慰謝料などを実際より高く見積もってしまい離婚後に「これしかもらえないの?」と呆然としたり、財産分与のため持ち家を売ろうとしたけれど思ったような値段では買い手がつかなかったり、とお金にまつわるハプニングは多いです。本気で離婚後の生活設計を考えたい場合は、ライフプランニングのプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみるのも良いでしょう。

自分で収入を確保するという面に関しても、仕事のブランクが何十年もある方が、50代60代になって正社員になるというのはなかなか難しい話です。清掃や介護など体力の必要な仕事ならパートとして雇ってもらえる場合もあります。しかし、長年専業主婦として暮らしてきた方にとって、立ち仕事を続けていくことは体力的にも精神的にも非常に大変な事です。雇ってもらったのは良いけれど、数か月も経たずに辞めてしまうケースも少なくありません。

離婚をせずに幸せになる方法

なかなか厳しい専業主婦の熟年離婚。ここでは視点を変えて、専業主婦が離婚をせずに幸せになる方法についてご紹介します。

趣味を見つける

ありきたりのようで、意外と効果があるのが(夫のことを考えずにすむくらい)没頭できる趣味を見つける、というものです。ここでは専業主婦である英理子さん(仮名)のケースをご紹介します。

英理子(61歳)さんはもうすぐ結婚35年目を迎える夫と2人暮らしです。長男と次男は成人して、ふたりともすでに家庭を持っています。英理子さんの夫は昔から口うるさいタイプでした。少し部屋が散らかっているとすぐに指摘されますし、料理の味付けが濃いと文句を言います。そのくせ、自分では何もしようとしない夫に、英理子さんはだんだん嫌気が差してきました。子ども達がふたりとも巣立つころには、本気で夫と離婚することを考えていたくらいです。

しかし、そこで英理子さんを思い止まらせたのが金銭的な問題でした。きれいごとを言っても、生きてくのには最低限のお金は必要です。夫と別れて得られるお金と、別れないで得られるお金とを比較して考えると、結局離婚はできませんでした。

その代わり、英理子さんは趣味を持つことにしました。昔から土いじりが好きだった彼女が選んだのは「ガーデニング」です。教室にも通い始め、殺風景だった家の庭は季節の花々で彩り豊かに整えられていきました。そんなある日のことです。いつものように英理子さんが庭で作業をしていると、いつの間にか傍らに夫が立っていました。英理子さんは内心ぎょっとしましたが、何とか平静を装って「あなたもやってみる?」と手にしていたスコップを夫に渡しました。

英理子さんの夫の実家は自然の豊かな場所にあったため、夫のほうも土の感触は嫌いではなかったのです。その日から夫婦で庭にいる時間が徐々に増えていきました。ぽつりぽつりと夫と会話を交わしながら、英理子さんは“やっぱり離婚しなくて良かった”と思ったそうです。

皆が英理子さんのようにうまくいくとは限りませんが、趣味を持つことで「離婚!」で凝り固まっていた気持ちがほぐれることは、十分考えられるのではないでしょうか。

別々に暮らす(無理なら別室にする)

夫が合意してくれることが前提になりますが、籍は入れたまま別々に暮らす、という手もあります。夫には妻を扶養する義務がありますから、月々に必要な生活費を渡してもらいながら夫と距離を取った生活を送るのです。

それが無理ならば、せめて夫婦で別々の部屋を持ち、なるべく夫と接する時間を減らすという方法をおすすめします。自分だけの時間を持つことで心にゆとりが生まれ、離婚したいという気持ちが薄れていくこともあります。

お金に余裕があれば老人ホームや海外移住も検討を

金銭的に余裕がある方は、夫とふたりで老人ホームに入居することや、海外移住を考えてみても良いのではないでしょうか。目的は「家事からの完全解放」です。専業主婦の仕事は基本的に終わりも休みもありません。しかし、老人ホームに入れば上げ膳据え膳の生活が送れますし、海外にしても移住先によっては家政婦さんを雇うことができます。

家事から解放されて自由な時間が持てるようになると、「熟年離婚よりこっちのほうが快適」と思える可能性は大です。

まとめ

専業主婦が熟年離婚する場合には相当なリスクを伴います。「私は夫と離婚して本当に後悔はしないのか?」ともう1度よく考えてみてください。

熟年離婚後の生活はバラ色ですか?~YES編~』『熟年離婚後の生活はバラ色ですか?~NO編~』も参考にして頂ければ幸いです。